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コラム

知的財産領域で知財管理・特許調査をおこなう
パソナナレッジパートナーの知財コラム

掲載日:2021.11.24

特許の使い方 もう一つの側面

特許の使い方と一口で言っても、色々なケースがあります。小職が駆け出しの知財部員だった頃に『The Invisible Edge』(ISBN10:1591842379/ISBN13:9781591842378)という書籍に巡り合いました。そこには、B社のゴルフボールの知財活用事例から始まり、数々の鮮やかで見事な知財戦略の実例が記載されていました。それらの実例を類型化したノウハウ本があればいいのですが、戦略があまりにバラエティー豊かなためか適切な文献をみたことがありません。本コラムでは類型化のヒントとして、その一端を紐解いてみようと思います。

もっともポピュラーな特許の使い方?

特許を使うと聞いて、思い浮かべる具体例は何でしょうか?恐らく、通信規格のSEPライセンス、半導体分野の2社間ライセンス、等を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。いずれも特許権を使用している根拠となる資料(EoU: Evidence of Use)と特許がペアとなり効力を発揮します。その結果、ライセンス料として金銭を得ることが出来る。事業会社であれば知財収支の黒字化、知財ファンドであれば収入として華々しい成果と認められます。

このような案件は通常当事者間の秘密であることが多いですが、訴訟に発展した場合、その判決文でライセンス金額が判ることも多々あります。金額の大きさに驚く事も多く、それが故にもっともポピュラーなのかもしれません。

EoUの例(一部抜粋)


これも特許の使い方?

米国では特許審判部(PTAB)が設立されて以降、この機関に特許の無効化を申請して審判を仰ぐ事が出来るようになりました。例えば、IPR2017-00162を参照ください。C社がD社の特許の無効化を申請しています。

上記以外にもC社 vs D社の無効化申請が数件有ります。無効化対象特許の技術内容は、酢酸製造のプラントの一部です。すなわち製造装置のカテゴリーに入るため、侵害立証は難しそうです。ですので、先に述べたようなEoUを用いて特許ライセンス交渉しているとは思えず、これを見つけた当時はそのモチベーションがよくわからない状況でした。

その後、2社の合弁会社をD社が完全子会社化するニュースリリースを見つけました 。これを見た瞬間、無効化申請の理由が脳裏に浮かんできました。

特許の使い方 ~戦略によって価値ある特許は異なる~

合弁会社の完全子会社化と特許無効化の関係、鮮やかな特許の使い方ですね。完全子会社化までに、2社間で特許を用いた激しい攻防があったのではないでしょうか。

価値ある特許とは?

以上、2つの類型についてお話しました。各社とも虎の子の特許を使うことは共通しているのですが、その目的やプロセスには相違があります。故に必要な特許にも違いが生じるのではないでしょうか?侵害立証性、権利範囲、等々。

特許の価値を評価するには、その使い方に照らし合わせて、丹念に吟味する必要があると思います。使い方と価値評価にお悩みでしたら、ぜひ弊社にお問合せください。

著者プロフィール

高山 秀一

株式会社パソナナレッジパートナー 東京事業部 部長(兼)知財ソリューション事業部 グループ長

〇 一般社団法人「日本知的財産協会(JIPA)」情報検索委員会
  委員(2013年度)、委員長代理(2014年度)、委員長(2015, 2016年度)
〇 独立行政法人「工業所有権情報・研修館(INPIT)」調査業務実施者育成研修評価委員会
  委員(2015年3月~2016年12月)
〇 講演実績
  - PDG(Patent Documentation Group) IMPACT Meeting|2014,2015,2016年
  - WIPO グローバルビジネスセミナー|2014年
  - WIPO Regional Workshop (アセアン各庁向け)|2016年
  - EPO CPC Annual Meeting|2019,2020年
  - ゲノム編集特許事情 ウェビナー|2020年

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